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スルピリドによる高プロラクチン血症

2013年5月掲載

薬剤 スルピリド中枢神経用薬
副作用 高プロラクチン血症
概要 46歳、男性。うつ病にてエチゾラム、スルピリド、ロラゼパムを8年間内服中であった。結婚後1年間の不妊を主訴に婦人科にて精液検査施行。乏精子症、精子無力症にて当科受診となった。精巣容積は左右とも8cm3と萎縮傾向、軽度から中等度の勃起障害を認めた。精液検査で精液量2.4mL、精子濃度1.0×106/ml、運動率0%、プロラクチン27.6ng/mL(基準値1.5~9.7ng/mL)であった。高プロラクチン血症を呈しており、原因としてスルピリドによる薬剤性の高プロラクチン血症が疑われた。スルピリドの内服を中止したところ、3ヵ月後に精子濃度6.0×106/mL、運動率16%と精液所見の改善を認めた。引き続き、同薬剤を中止のまま経過観察を行ったところ、5ヵ月後の精液所見にて精液量3.5mL、精子濃度5.0×106mL、運動率40%と運動率の改善を認めるとともに、血中プロラクチン濃度は12.5ng/mLと著明に改善し、配偶者が自然妊娠するに至った。

監修者コメント

スルピリドは定型抗精神病薬に属し、高プロラクチン血症に大きく寄与することが知られている。男性の高プロラクチン血症の看過できない臨床症状として、性欲減退、射精遅延、勃起不全などがあるが、精子形成、精液所見に関する報告は少数である。本症例ではスルピリドを中止したところ、精神症状の悪化を招くことなく精液所見において、とりわけ運動率の著明な改善を認めるとともに血中のプロラクチン濃度は正常化し、妊娠するに至った。高プロラクチン血症を伴う男性不妊症の患者においては、精液所見の悪化を念頭においたうえで、患者と相談のうえ慎重に薬剤の減量や変更を行う必要がある。

著者(発表者)
竹島徹平ほか
所属施設名
横浜市立大学付属市民総合医療センター生殖医療センターほか
表題(演題)
薬剤性高プロラクチン血症が原因と考えられた男性不妊症の1例
雑誌名(学会名)
泌尿器科紀要 59(1) 65-67 (2013.1)

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